【ブックナビ】『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』は、人生を見直す一つの「鍵」だ

会社としてどうあるべきか。
そう考えた時に、やりたいと考えることをより実現していくために「規模」と「成長」を追い求める一つの道があります。
※蛇足ですが、私はこれを「規模の誘惑」と呼んでいます。

「規模」と「成長」を追い続けていくこと、それが自分にとって理想の生活なのか。
それは自分がやるべきことなのか。自分がやる意味はあるのだろうか。
ときおり、考え、振り返り、この先をどのようにしていくかを判断しております。

しかし、そう感じることには何かの前段がある。
日頃「もやっ」としていたものが、言葉として言い表された。
そんな「鍵」が得られた一冊をご紹介いたします。

(はじめに)「ブックナビ」とは

これは読んでおくべき」と感じた書籍(良書)についてご紹介するページです。

自身が重要だと思ったポイント、感じたこと、考えを記します。
また、自分自身の振り返りのためのページでもありますので、後日、内容をアップデートすることがあります。

完全に個人の意見であるため、著者の言いたいこととは異なる解釈である可能性もございます。あらかじめご了承ください。

良書紹介

ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す
著者:山口周

以下、上記書籍より引用。

(P12)
ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか?
答えはイエス。ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。

(P12)
「経済とテクノロジーの力によって物質的貧困を社会からなくす」というミッションがすでに終了していることを示しています。
この状況は昨今、しばしば「低成長」「停滞」「衰退」といったネガティブな言葉で表現されていますが、これは何ら悲しむべき状況ではありません。古代以来、私たち人類はつねに「生存を脅かされることのない物質的社会基盤の整備」という宿願を抱えていたわけですから、現在の状況は、それがやっと達成された、言うなれば「祝祭の高原」とでも表現されるべき状況です。

(P13)
この転換を前向きに乗り越えていくに当たって、大きく三つのポイントがあると思います。
「終焉の受容」「ポジティブに受け入れよう」「新しいゲームの始まり」

(P16)
最大の問題は、そもそも「どのような社会をつくりたいのか?」という構想が描かれないままに、単なる「変化率」を表す概念でしかない「成長」という指標だけが、独善的に一人歩きしていることです。
私たちが社会を評価する際にしばしば用いる「成長率」という概念は、社会の状態を表す指標ではなく「変化率」を表す指標です。つまり数学でいう「微分値」をあたかも状態記述の指標のように用いているのです。

(P34)
このデータを素直に解釈すれば「経済」と「幸福」にはもはや大きな関係はないという当たり前の結論に至ることになります。

(P39)
私たちの多くが関わっている「無限の成長を求めるビジネス」と言うゲームには、本質的な破綻、ゲーム終了時に爆発する時限爆弾が内蔵されているということです。
なぜならこの営みは使命を設定することを強く求めながら使命の達成を喜ぶことができないからです。
歴史的使命が既に終了しているにもかかわらず、あたかもそれを終了していないかのように振る舞っていらぬ混乱を世の中に巻き起こしてなんとか「使命終了の延命」を図っている。
これが多くの企業が「マーケティング」と称して行っていることでしょう。

(P65)
ゴードンやピケティの指摘がもし正しいのだとすれば、多くの企業が高い成長目標を掲げ、において人々が耗弱 させるようにして仕事に取り組んでいる現在の状況は、やっと取り戻しつつある「正常な状態」を、あらためて「異常な状態」へと 押し戻そうとする不毛な努力なのだということになります。

(P75)
私たちがいま生きているのは「文明化の終焉の時代」だということになります。
おそらくは2020年に発生したグローバルなコロナによるパンデミックがこの高原状態への移行を急速に推し進めることになるでしょう。

(P81)
重要なポイントは「時間」です。
つまり「時間」に価値がなくなったから「金利」の価値も下がっていると考えるべきなのです。
なぜ「時間」に価値がなくなったかというと、それは私たちの社会がすでに「高原」に達しており、時間を得ることで上昇・成長・拡大という期待がもてなくなったからです。

(P85)
真に問題なのは「経済成長しない」ということではなく「経済以外の何を成長させれば良いのかわからない」という社会構想力の貧しさであり、さらに言えば「経済成長しない状態を豊かに生きることができない」という私たちの心の貧しさなのです。

(P95)
「便利で快適な世界」を「生きるに値する世界」へ変えていくということ、これに尽きると思います。

(P95)
「文明のために自然を犠牲にしても仕方がない」という文明主義
「未来のために今を犠牲にしても仕方がない」という未来主義
「成長のために人間性を犠牲にしても仕方がない」という成長主義
からの脱却が必要になります。

(P121)
現時点で残存している深刻な問題の多くは、現在の社会システムを前提にしていては解けない「経済合理性限界曲線」の向こう側に横たわっているということでもあります。

(P177)
コンサマトリーな高原社会を成立させるためには、私たちは今後、具体的にどのようなアクションを起こせばいいのでしょうか。
イニシアチブ1. 真にやりたいことを見つけ、取り組む
イニシアチブ2. 真に 応援したいモノ・コトにお金を払う
イニシアチブ3. (1と2を実現するための)ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入

(P210)
創造的な人々はさまざまな面で互いに異なっているが、ある一点において一致した意見を持っている。
それは自分の仕事に強い愛情を持っているということである。
彼らを突き動かしているものは、名声欲や金銭欲ではなく、楽しみを得ることができる仕事の機会そのものである。

(P216)
どのようにすれば自分が夢中になれる仕事を見つけることができるのでしょうか。
答えは1つしかありません。
とにかく、何でもやってみる。

(P259)
そのような状況になると人間に残された仕事は「原理的に機械にはできないこと」しかありません。
それは「創造」と「遊び」ということになるわけですが、ここに大きな落とし穴があります。
というのも、いわゆる「生産労働」と違って「創造」や「遊び」には大きな生産性の違いが生まれるので所得格差はむしろ広がることになるからです。

(P296)
世の中を悪くしている「無批判で無関心な善人」

感じたこと、考えたこと

もやっと感の正体

物質的貧困が社会からなくなり、高原に達してきている。
「経済成長しない状態を豊かに生きることができない」という私たちの心の貧しさ。

日本にいる限り、すごく実感のある表現だと感じました。

もちろん、日本においても、さらには世界に目を向けるとまだまだ「高原」というには遠い世界だとは思います。
しかし、現状を考えると、すごくシックリときました。

シンギュラリティが来れば

「シンギュラリティ」という言葉があります。

色々と解釈はありますが、ロボット(と総称しちゃいます)が人間に必要な基本的なことが全てできた時。
そして、様々なテクノロジーで寿命が無限大に延びた時。

人間は何をして生きるのか。人間は何のために生きるのか。
強烈に問いかけられることになると考えています。

自身の現時点の結論は「探求心」「好奇心」です。
これなしでは、おそらく耐えられない世界となるでしょう。

「高原」を実現する一つの要素

そういったシンギュラリティも、「高原」を実現する一つの要素だと感じました。

本書ではベーシックインカムについても語られていますが、個人的には時期尚早だと感じます。
(もちろん、そのような意識をもつことは大事です。)

それは、以下の点からです。

  • 全人類が困らないレベルの物質的貧困は全く解決できておらず、
    人間の労働なしでは物質的貧困を解決できるほど、まだテクノロジーは進化していない
    (生産行為が機械のみでできるようなレベルでは、まだまだない)
  • 資本主義に洗脳されている人類の考えを変えるには相当な困難をまだまだクリアしないといけない
    (金銭的報酬以外で納得ができるコンセンサスを作るのは並大抵のことではない)
  • 人間は惰性の生き物。生き方を変えていくこと自体も並大抵のことではない

おそらく、以下のようなストーリーなのではないかと想像しています。

  1. テクノロジーが進化し、真の意味で、基本的な物質的貧困が解消していく
  2. 基本的な生活水準にかかる金銭的な負担が極限まで低下する
  3. 結果的に、少ない労働時間(=少ない収入)で満足のいく生活ができる
  4. 時間的裕福ができ、創造的な活動が増える

しかし、どのような環境になっていっても、最後の壁となるのは人間自身かもしれません。

社会的な「合意形成」の変化は、世代交代していくことで変わっていくと考えております。
(年長者が亡くなり、若い世代のマインドで時代が作られる。その繰り返しで変わっていく。
人間の考えを変えることは、相当困難です。)

しかも、今は長寿化、長生きするテクノロジーも次々と生み出されています。

もしかすると、「社会レベル」での「意識の変化」は、歴史が体験したことのない「遅さ」かもしれません。

資本(金銭)以外の数値が必要

貨幣価値でしか判断できていない現代の尺度。
「高原」を目指すには、個人個人の幸福の尺度、それが必要だと感じます。

数値化が難しいのはよく分かります。
しかし、数値化は大事です。

「今日は1万円の収入と100万幸福ポイントをゲット!」みたいに「見える」と、よりそのポイントを得たくなりませんか?(私だけ?)

「今日、カフェでくつろいだのは凄く有意義だったので、1000幸福ポイントゲットだな」、みたいな。

お金を稼ぎたいのか、幸せを稼ぎたいのか。
一人一人がよく考えることが、まずは最初の第一歩かもしれません。
(誤解を恐れずに書くと、私は幸せを稼ぐことを重視し始めました。)

目先のお話にはなりますが

「想い」を持つ方の「想い」を実現する。
それも「高原」に達する意識を持つ一つの方法だと想います。

私にできるのは、ITを軸としたサポート。
そんな「想い」で、IT顧問サービスをご提供しております。

ITなしでは、実現できることも実現できません。
「想い」を実現するビジネスを、ご一緒させていただけませんか。

コメントいただきました!

当書をお読みになったということで、Twitterにて感想をいただきました!
※掲載OKのご了承をいただいております

  • 行動変容を促される本で、何を学んだかではなく、何を実行したのか?が大事
  • 事実は一つであって、そこに対する捉え方は人それぞれ。社会の常識や雰囲気に惑わされてはいけない
  • お金の循環=良いことではない。何が本質かを見極める必要がある
  • 私たちの違和感や感覚的なものが言語化されており、学びやすい
  • 役に立つと思っていることや、あなたのためにと思っていることは本当によいことなのか?ということ
  • 新しい社会では、労働を通じて知識・技能・創造性を発揮する「楽しさ」が最も重要な報酬である

Twitter:@love__forty さん

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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
以下も、ぜひご活用ください^^
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