これからのITサービスはさらに大きく進化し、よりデジタルの恩恵が受けられる世の中になるでしょう。
しかしその「根本となる考え方」を理解していないと、的外れなサービスばかり作ってしまい、価値あるものが生み出せないでしょう。
この書籍は、中国で実現・実用されている現実をベースに、今後重要となる考え方・発想の仕方の指針を教えてくれます。
(はじめに)「ブックナビ」とは
「これは読んでおくべき」と感じた書籍(良書)についてご紹介するページです。
自身が重要だと思ったポイント、感じたこと、考えを記します。
また、自分自身の振り返りのためのページでもありますので、後日、内容をアップデートすることがあります。
完全に個人の意見であるため、著者の言いたいこととは異なる解釈である可能性もございます。あらかじめご了承ください。
良書紹介
アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る
著者:藤井保文、尾原和啓
以下、上記書籍より引用。
(P1)日本のビジネスパーソンは「デジタルが完全に浸透した世界をイメージできていない」
(P1)それは、たとえ大手企業やスタートアップの経営者であってもです。こうした状況に危機感を抱いています。
(P2)世界を見渡せば、例えば米国の一部地域、中国都市部、エストニアなどに代表される一部の北欧都市では、既にオンラインとオフラインの主従逆転が起きています。考え方のベースはオンラインであり、こちらが「主」。オフラインは「信頼獲得可能な顧客との接点」という位置づけで、こちらは「従」です。
(P3)「顧客接点データを多く持ち、それをエクスペリエンスの良さに還元する」という新たな改善ループをいかに高速で回せるか。これが新しい競争原理です。
(P16)世界の変化において一番重要なことは、「オフラインがなくなる世界の到来」です。今まではデータとして取得できなかった消費者のあらゆる行動が、オンラインデータになって個人のIDとして結びつくのです。
(P24)日本でジーマ・クレジットが報道されることはありますが、その際、負の側面にスポットライトを当て過ぎているように思います。〜中略〜 私は実際中国に住んでいて、窮屈で肩身の狭い実感はありません。むしろ、信用スコアのサービスは「データを提供すると点数が上がってメリットがもらえるゲーム」といった印象です。その背景には、中国にはこれまでまともな与信管理がなく、多くの人が信用情報を持っていない状態にあったため、個人貸付などがまともにできなかったという現状があります。
(P26)これは私の主観ですが、信用スコアが浸透してから中国人のマナーは格段に上がったように感じられます。
(P31)不当にスコアリングされたことによる事件が起きたりしているのは事実です。大きな変化に対してすべての人が移り変われているわけではありません。その点は、正しく認識しておいたほうが良いと思います。
(P32)中国のサービスはスコアの低い人に罰則を与えるような仕組みにはなっていません。中国の先進企業では「ユーザーに好きになってもらって、高い頻度でずっと使ってもらわないと死んでしまう」という感覚が染み付いていますので、よほど犯罪に近い行為を行わない限り、スコアが下がることはありません。基本的には「良いことをし続けると、メリットが返ってくる」という加点方式なのです。
(P33)中国の若い先進企業とこうしたアイデアを話すとき、いつも「それは、買い手と売り手にどんなメリットがあるの?」という質問が出てきます。実利主義だからこそ、インセンティブ設計をしっかり行い、Win-Winの関係を作ろうとするのです。
(P42)すべての事例で共通していることは、エクスペリエンスと行動データのループが競争原理の根幹になっていることです。
(P46)モバイルやIoT、センサーが偏在し、現実世界でもオフラインがなくなるような状況になると、「リアル世界がデジタル世界に包含される」という図式に再編成されます。こうした現象の捉え方を、私たちは「アフターデジタル」と呼んでいます。
(P47)デジタルトランスフォーメーションを推進する上で、この考え方に転換できるかどうかが最も重要ですが、ビフォアデジタルにどっぷり浸かっていると、非常に難しい思考法になります。「デジタルツール」という言い方がありましたが、もはやリアルの方が「ツール」になります。つまり、「デジタライゼーション」の本質は、デジタルやオンラインを「付加価値」として活用するのではなく、「オフラインとオンラインの主従関係が逆転した世界」という視点転換にあると考えます。完全なオフラインはもはや存在せず、デジタルが基盤になるという前提に立った上で、いかに戦略を組み立てていけるかという思考法が必要不可欠になります。
(P60)「オンラインとかオフラインとか、そのようにチャネルで分けて考えてはいないんですよ・・・そもそもそういうチャネルで分けた考え方は、すごく企業目線だと思っています。今の時代は、OMOともいわれるように、オンラインとオフラインは既に溶け合って違いはなくなりつつあると考えるのが当たり前なんです。顧客はチャネルで考えず、その時一番便利な方法を選びたいだけですから。」
(P65)OMOについて重要な考え方をまとめてみましょう。1つめには「チャネルの自由な行き来」が挙げられます。〜中略〜 2つめには「データをUXとプロダクトに返すこと」が挙げられます。〜中略〜 3つめには、「リアルも含めた高速改善」というポイントが挙げられます。
(P93)店舗は物理的制限からスタートしているため、それをデジタル側に持っていこうとすると、物理的制約をデジタル側に持ち込むことになります。しかし本来デジタルは理想行動で作れるはずなので、デジタルを起点に考えるとより自由な発想ができます。
(P123)「無人化」というとどんどんサービスが機械化していく印象がありますが、実際には従業員とよりコミュニーケーションを取り、より人間的な温かいサービスを提供するプレイヤーが生き残っています。これは、リアル店舗での顧客との接点の価値が変わっていく大きなポイントではないかと思っています。
(P133)日本は現場における接客レベルは高いのですが、目の前にお客様いるときの「一期一会のみ」に偏り過ぎる傾向にあるのではないでしょうか。
(P156)単一接点型から、常時寄り添い型になるという表現が適切でしょう。データを取得することやシステムを構築することに目が行きがちですが、「エクスペリエンスで価値を提供する」視点が抜けてしまってはいけません。
(P191)一方で日本の得意な「体験」は、人による個別対応です。これはカスタマーサクセスでいうハイタッチを指していますが、ハイタッチはせっかく人が個別対応できる接点なので、「信頼、感動」が必要です。思いやる、もったいない、せっかくの機会といった、英語にしにくいような日本的な言葉が示すように、対面での心遣いの品質はどう考えても日本のほうが高いと思います。
(P193)「変化する時代に地図は役に立たず、必要なのはコンパスだ」
感じたこと、考えたこと
非常に読みやすい、しかし超重要な考えが書かれている。そんな良書です。
価値提供が大事なのは企業として当然のこと。そして、価値提供するためには、近未来含めて可能となる技術を見極めて考えていかないといけません。
ここから先は、全てにおいてオンラインが関係してきます。(関係できるようになります。)
だから、オンライン、オフラインと区別するのではなく、柔軟に価値を考えて構築していく必要があります。
久しく中国に行っておりませんが、この書籍を読み、久々に行ってみたいと思いました。10年以上前の中国のイメージしかないため、どれだけ変わっているのかは興味があるところです。また、日本にはない決済サービスなども使ってみたいものです。
中国というと監視社会、というように聞こえることがありますが、そうではなく、監視することによって社会全体がよくなる、ということにはハっと気づかされました。監視社会はデメリットもあります。でも、そのおかげで(自動車の)スピード違反は減り、人々は礼儀正しい行いを率先して行うようになる。日本は「お天道様が見ている」思想ですが、中国は「システムで監視しているよ」方式。形は違えど、よい方向に向かえるならよいのではないでしょうか。
新しい技術は使い方によって良い方にも悪い方にも傾くのは長い歴史上、必然。
しかし、使わないと滅んでいくのは、これまた長い歴史上の答えでもあります。(火薬、原子力、インターネット、AI、そして・・・?)
また、「オフライン」に対して、もう一段メスが入る技術がまもなく到来します。
そう、VR、ARです。
オンラインにいながらして、オフラインの利点を多大に取り込めると予想されます。そうした時、世界はもはや本当にオフライン・オンラインの区別なく、リアル・仮想の区別もなくなるのではないでしょうか。
個人的に注目している次のガジェットは「スマートメガネ」です。 「スマートメガネ」とは、大雑把に言うとコンピュータを搭載したメガネのことで、メガネ上に情報や映像を映したりできるガジェットです。 2013年頃に「Glassエクスプロ[…]
そして、さらにその未来。
AIが発展し、AIが「人間らしい」おもてなしができるようになった時。我々人間の優位性はどうなっているのでしょうか。
(なお、私の今の答えの一つは「好奇心」です。)
次代のサービスを作っていく人たちは、絶対に読んでおかねばならない一冊だと思います。
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