デジタル庁の目玉政策の一つである「法人や国土などの公的データの整備事業」の一部を中断する判断がなされました。
非難の声もあるようですが、個人的には「撤退戦ができた」ことに驚きを感じました。
何が起きた?
住民や法人、国土の情報など日本の根幹をなす公的基礎情報を多目的に使えるようデータベース化する「ベース・レジストリ」の整備が企画されています。
その中でも企業や団体などが持つ多様な「事業所」の情報を統合した事業所ベース・レジストリを整備する事業が中断されました。
システム調達の取りやめ、構築中のシステムもそこまでの活動で終了となるようです。
・・・ようするに「やろうと思ったことを検討してみたけど、難しいと分かったので中断します」というお話ですね。
デジタル庁の存在意義を感じた
パイロット検証を行い、厳しいと見えたら中断する。
ごく当たり前のことではありますが、なかなか難しいことです。
「やると決まっているから」
「誰も判断せずにズルズルいく」
というのが日本の定番コース?ですが、しっかりと中断できたことに驚きました。
そして「デジタル庁」という看板があることで、世間的にも注目されます。
そもそも「パイロット」ですので、実現可能性の見極め、本質的な課題の抽出を実施するものです。
牧島かれんデジタル相は、中断した理由を以下のように述べています。
委託調査事業などで当初想定したユースケースが実務レベルでは成立し得ないことが2021年11月に判明した。
2021年11月からは、有識者会合からの提言を参考に、より上位である法人や事業主のデータ整備を優先する方針変更を検討した。
しかし検討を進めるとこれらのデータ整備よりもさらに優先すべき課題があることが判明した。
より根本的な検討が必要となり、運用コストが発生するシステム調達は中断すべきだと決断した。
大切なことは
本質的な課題の解決、本来の目的を実現するために、違った形での検討を行う。
そして、それらを継続して実施していくことでしょう。
もちろん、これは個々のビジネスにおいて、システム導入を検討する時にも言えることです。
「手軽にシステムを導入できます!」みたいなサービスはたくさんあります。
もちろん、手軽に試してみるのは大切です。
何もしないよりも、試してみた方がよいです。
しかし、継続した運用コストの発生。
そして、サービスを切り換える時に発生する多大なるコスト。
本格稼働させるには、かなり踏み込んだ判断する必要があります。
そこには「責任を持って判断」できる人間が必要となることでしょう。
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