IT裁判の中でも、ザワついた先日の「野村HDが日本IBMに逆転敗訴」。
システム開発が大幅に遅延し、プロジェクトが中止となったいうことで「野村證券が日本IBMに約36億円の損害賠償を起こした裁判」です。
一審の東京地裁判決では、日本IBMに約16億円の支払いを命じました。
しかし、今回の控訴審では野村HDの請求を棄却。
逆に、未払いの業務委託料など約1億円を日本IBMに支払うように命じました。
何を隠そう、当時、非常に近しいところで勤務しておりましたので、より身近に感じている裁判です。
(炎上していたのも知っていますし、プロジェクト中止となったための対応にも一部絡んでいました。)
※なお、内部情報のようなものは書いておりませんので、ご了承くださいませ。
簡単なあらまし
私は法律の専門家でないため、しっかりとコメントされているページをご紹介です。
ウエストロー・ジャパン「今週の判例コラム」第171号は、青山学院大学法務研究科(法科大学院)教授 弁護士法人 早稲田大学…
誤解を恐れずに超ザックリ言うと、以下になります。
- 2010年11月 プロジェクト発足(2013年1月サービスイン予定)
- 2012年11月 プロジェクト中止
- 2013年11月 東京地裁に訴訟(約36億円)
- 2019年03月 一審判決、野村側勝訴(一部容認、約16億円)
- 2021年04月 二審判決、IBM側勝訴(未払い業務委託料 約1億円)
※野村側は、最高裁に上告申請済。
判決のポイントは?(私見)
「システム開発プロジェクト失敗」における裁判。
昨今、重視されている判断ポイントが「プロジェクト成功に向けて正しい努力をしているか」だと感じます。
これは、発注側、受注側問わず、です。
発注側は「無理ばかり押しつけていないか。判断すべきものを判断しているか」
受注側は「システム開発のプロとして、予見できるものは予見し、言うべきことを伝えて判断を求めているか」
今回逆転敗訴となった大きな理由が「野村證券が仕様の変更要求を繰り返した」点となります。
(さらに、仕様凍結の依頼も無視して、続けていたようです。)
システムの仕様変更は、想像以上に大変です。
例えば、建築において「窓ガラスを違う種類にしたい」としましょう。
サイズさえ合えば、窓ガラスを変更すればよいですよね。
たとえサイズが合わなくても、どこを変更すればよいかは明確でしょう。
しかし、システム開発において「データの持ち方を変えたい」となるとどうなるか。
変更前のデータをどのように使おうとしていたのか。
表示なども含めどこに影響が出るのか。
そもそも誰が(どのシステムが)使おうとしていたのか。
※システムは外部システムへのデータ連係なども行うため、自システム内だけに影響が留まらないことがあります。
本裁判、第一審は「日本IBMがプロジェクトマネジメントをしっかりとやらなかったからだ。」
第二審は「プロジェクトマネジメントとしてやるべきことはやっている。それを野村側が無視し続けた。」
という判断だったと読み取れます。
最高裁では、どういった観点で争われるのか、注目が集まります。
システム開発で最重要なのは「コミュニケーション」
もちろん今回のケースもですが、誰もが「成功しよう」と思って活動していたことでしょう。
悪意を持って「プロジェクトを潰してやろう」なんてメンバーは(おそらく)皆無でしょう。
それでも、プロジェクトが失敗して、裁判まで発展するケースが後をたちません。
私も多くの大型プロジェクトを経験してきました。
成功したプロジェクトはすべからく、コミュニケーションがうまくいっています。
お互いを尊重しあい、やりきるところはやりきる。
不可能なものは、しっかりと落とし所で決着させる。
発注側、受注側ともに、自身がやるべきことを理解し、成功に向けて活動する。
全ては、それに尽きるでしょう。
※本裁判の内情や実態が、判決の通りであると言っているわけではありません。
あくまで、判決となっているポイントが「理想に近づいている」との考えです。
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が、やはり「見返す」ということがなかなかできません。(多すぎて・・・)
そこで、このツールを使って「ランダムに1ファイルを選択し」(ココがポイント)、「その内容を毎朝メールで届ける」ようにしました。
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