【メルマガ】損害賠償の考え方は?(2022年08月09日)

先日発生した、KDDIの大規模通信障害。
返金対応をする、ということでも話題になりました。

今回は、こうした損害賠償について考えてみます。

※KDDI 会社サイトのトップページにこの「お詫び」しかないのは、ある意味すごいですね・・・

KDDIの公式企業サイトです。KDDIの企業情報、ブランド、個人向け事業、法人向け事業、サステナビリティ、投資家情報、採…

※後日、普通のページに戻るかと思います。

200円の返金(利用料から減算)って、どうなの?

・・・という金額が話題になっています。
が、個人的にはどうでもよいレベルのお話です。

※ちなみに、私も対象のはずです。

KDDIとしては「規約約款+お詫び」代として算出しており、これはロジックとしておかしなものでもありません。

騒ぎになるのは、(乞食みたいなお話はさておき・・・)「損害」に対する補償のあり方が難しい、ということに尽きると考えます。

損害は、極論、際限がない

何事もそうだと思いますが、製品やサービスの利用によって、何かしらの事件が起きる可能性はあります。

今回のケースですと、下記のようなケースがありえました。

  • 電話ができなかったことにより、緊急電話が出来ず、命を失った
  • 電話注文が受けられなくなり、売上ゼロになった
  • 連絡がとれず、人と会うことができなかった

「電話ができない」という事象は同じですが、それに応じて発生した被害はケースバイケースです。

大きな痛手を受けるほど、心情的に「賠償しろ」と言いたくなります。
しかし、事業をする側からすると、こんな無限責任のようなリスクがあると、事業が成り立たなくなります。
当然、コスト高にもなります。
(もちろん、最低限のところ、たとえば製造物責任法などはあるわけですが。)

そうした状況・事情からも、「妥当な損害賠償」というのは非常に難しいものとなります。

システム開発・サービス提供でも悩ましい問題

こうした事情は、IT関係でも強く言えます。

システムバグにより利用者に大きな損害を与えることもありえますし、セキュリティ事件による被害もありえます。
たとえば医療や金融系のシステムだと、人命・金銭的に大きなインパクトが与えることもありえますね。

こうしたケースの補償は「契約」次第ではありますが、一般的には「システム開発費用」「運用費用」が賠償額のベースとなることが多いですね。

しかし、そのレベルの金額では厳しい、ということであれば・・・
そうです、「保険」の力を借りるという考え方もありますね。

サイバー保険や、IT事業者が入るような「IT事業者向け業務過誤賠償責任保険」といったものもあります。
※保険の営業になりそうなので、リンク等は割愛します。


最終的に、あらゆるリスクは「使い手」に降りかかってきます。
他人(他社)のせいにしていても、最終的に困るのは自身です。

事業を継続するために、様々な視点を持っていくべきですね。

※ちなみに、システムによる被害で保険金がおりた事例を知っておりますが、審査や判断はかなり難しく(内容が難しいため)、支払いまで数年要することもあります・・・

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