【メルマガ】オンライン投票の実現。そもそもの「壁」は何か?(2022年07月19日)

痛ましい事件が発生してしまいましたが、、、
ちょうど参議院選挙の最中だったということもあり、「オンライン投票」に関する話題を目にしました。

オンライン投票。
簡単にできそうにも感じますが、どんなハードルがあるのかを考えてみます。

「オンライン投票」って?

いわゆる「投票所に行かず、スマホからポチっと投票する仕組みの」ことです。

今は本人が投票所に足を運び、投票する必要がありますね。
(代理投票制度はあります)

なお、「オンライン投票」という呼び名が正しいかどうかは、割愛します。
ここでは、インターネットを介してスマホ等から投票することを「オンライン投票」と呼んでいます。

一番の壁は「秘密投票の実現」

本人確認。
投票内容の秘匿。
通信の安全の確保。
投票されたデータの改ざん防止。

・・・様々な技術的な課題はあります。

しかし、一番難解な要件が「秘密投票」だと考えられます。

秘密投票とは「各人の投票内容を明らかにすることなく秘される制度」のことです。

この秘密投票の実現が、相当難しいです。

何が大変か?

一言で言うと「脅迫された状態で投票できてしまう」点にあると思います。

「脅迫」は言い過ぎかもしれませんが、オンライン投票のオペレーションを横から見られていると、本当に投票したい人に投票できませんよね。
組織的な犯行が行われることは、想像に容易いでしょう。

今は「投票所で監視する」ことで、秘密投票が守られています。

「秘密投票」という要件は、まさに民主主義の根幹を成すものであり、絶対に緩めてはならないものであると思います。
「技術的にトライしてみよう」という分野とは一線を画すものですね。

まだまだ、オンライン投票の実現は先だと感じます。


なお、国政選挙でオンライン投票を実現しているのは、エストニアのみのようです。

「エストニア」は、ロシア西方にて国境を接っし、人口は約130万人。
※ちなみに、東京都23区の人口は約970万人。
1位、2位の世田谷区+練馬区で、約170万人となります。

そのエストニアにおいても、「秘密投票」を完全に実現できているわけではないようです。

・同じ人が何度も投票できる仕組みとし、最後に投票したものを有効とした。
=つまり、脅迫されて投票したものを、後で上書きできる仕組みとし、脅迫するインセンティブを減らしました。

・その代わりに「誰が投票したデータなのか」を管理する必要が出てしまいます。
そうしなければ、投票したデータが無効にできません。
= ハッキング等で、データの内容が解読される怖れが発生します。

なお、エストニアが、完全に「秘密投票」を守れないと分かりながらも実施している理由は、
「国土が危険にさらされた時でも、国民さえいれば国は成り立つ」という危機感も、一因にあると言われています。

そうしてまで守りたい、一票の重み。
無駄にしないようにしていきましょう。


当メルマガは、以下のページを起点に、大変勉強させていただきました。
ありがとうございました。

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