【メルマガ】「フォートナイトの乱」の行く末に、日本の公正取引委員会も注目(2020年09月08日)

ゲーム「フォートナイト」が「独自課金を実装した」ということでAppleのアプリストア規約違反、アプリがリジェクトされました。(ダウンロードできなくなった)

裁判での争いが始まっていますね。

「独自課金を実装した」のは「売上の30%の利用料が高い」ため。

※ニュースではAppleが強調されますが、Google Playからも削除されています。
(もっとも、Androidにはアプリインストールの抜け道がありますが。)

当件、日本の公正取引委員会も注目されているようです。
この件について少し考えてみます。

(日本の)独占禁止法とは

正式名称「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といい、主に以下を禁止・規制するものです。

  • 私的独占の禁止
  • 不当な取引の制限
  • 事業者団体の規制
  • 企業結合の規制
  • 独占的状態の規制
  • 不公正な取引方法の禁止
  • 下請法に基づく規制

目的は、公正かつ自由な競争を促進し、事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにすること、です。

今回のケースでいうと、本質的には「30%」という利用料が高い・安いということが論点ではありません。

同じ土俵の事業者(アプリ配信プラットフォーム事業者。ゲーム制作会社ではない)に対して、
・新規参入者を妨害していることがないか
・他の事業者の事業活動に制約をあたえて、市場を支配しようとしていないか
が、独占禁止法に違反しているかどうかのポイントだと考えられます。

値段が高い・安いは商売の話ですので、(公正な市場なのであれば)値段を指示されるのはおかしなことです。

日本のアプリ開発者の不満

少し話は変わりますが、日本では「30%」への不満よりも、そもそものAppleの対応に不満が多いようです。

  • App Storeのガイドラインに一貫性がない
  • 審査プロセスが不透明
  • Appleとのコミュニケーションに難がある

弊社もAppleの開発者として、iPhoneアプリをリリースしておりますので、状況はよく分かります。

正直、「は?」と思うことは多々あります。

  • アプリのバージョンアップ版の審査で、何も改修していない部分を指摘されて却下される
    xxが動作しません、と言われて却下。
    こちらで再検証したところ、問題なく動作。
    そのまま再審査依頼をして、通過。
  • 審査のスケジュールがよく分からない
    昔に比べると相当よくなっているようですが、審査依頼してから審査までのスケジュールが読めません。
  • ガイドラインの判断が難しい
    「こういう風に作るべき」みたいな記述があった時に、それ以外の実装方法だとOUTなのかどうなのかが判断しづらい。
    コーディングとして実装不可であれば迷いませんが、コーディングできてしまうがゆえに、リリース審査でOUTだと全てがゴミに。
    開発者側が一方的にリスクを持って対応せざるを得ません。
  • iOSのバージョンアップとともに「できていたことができなく」なる
    これが厳しいですね。
    しかも、そういったケースは「Appleの新機能をお使いください」。
    類似機能のアプリがリジェクトされることも過去にありました。
    (過去、一時的にGoogleMapアプリが消えたこともありましたね。)
    特に、無料アプリとして配信していた場合、改修コストは重荷でしょう。

しかし、もちろんよいこともあります。(恩恵は受けています)

  • 開発者ライセンス(年額)以外は、ランニングコスト不要
  • インフラ面(配信するサーバーや容量など)を気にする必要がまったくない
  • 開発プラットフォームは整っており、ルールに則れば、安心してリリースが可能

独占、寡占を何を持って定義するのか

「iPhone」というスマホを見た時に、その内部はAppleの独占です。
「30%」利用料も、交渉の余地もありません。
これを独占というのか。

「スマホ」という世界で見た時に、「iPhone」と「Android」で寡占しています。
利用料も「30%」で同じです。
これを寡占というのか。

「ゲーム」という世界で見た時に、「スマホ」「PS」「Xbox」「Nintendo」など、複数のプラットフォームがあります。
これは寡占と言えるのか?

ITビジネスは、特に一人勝ちになりがちな世界であります。
これからの「独占、寡占」を、何を持って判断するのか。

日本だけでなく、世界中が悩んで判断していかないといけないことかもしれません。

「30%」について

(独占禁止法ではなく)この「高い」「安い」に関してです。
私見になりますが、もう少し柔軟性をもった利用料にすればよいだけだと考えます。

・通常は30%
・一定規模以上の売上があると、20%
・超大口は個別に相談

商売ってそういうものですよね・・・?

弊社アプリから考えると、「30%」以上の恩恵はいただいているかと思います。

メルマガ登録

"意見が持てる" デジタルコラム
『メルマガ Professional's eye』

週1回、3分で楽しめます。


詳細はこちら >>>
送信時点で「Privacy Policy」に同意したものとみなします。
広告を含むご案内のメールをお送りする場合があります。

One more thing

弊社では「Simple Memo-Ultimate-」というiPhone/iPadアプリをリリースしております。

アプリダウンロードは無料。
ささっと「テキスト」を取る時にご不満を感じていらっしゃる方は、是非お試しください。

※ありがたいことに、毎日コンスタントにダウンロードいただいております。

【iOSアプリ】Simple Memo-Ultimate- 公式ページ(究極のシンプルテキストエディタ)

関連記事

究極のシンプルテキストエディタ iPhone, iPad, Apple Watch ダウンロードする (AppStore) 究極のシンプルテキストエディタ iPhone, iPad,[…]

バックナンバーを見る

>情報システムの

情報システムの"教科書"本を発売中!


■ 情シス、システムコンサルタント、システムエンジニアの方へ
情シスの定石(技術評論社)

■ システムエンジニア、情シスの方へ
2023年10月7日(土)発売
システム設計の教科書(技術評論社)

CTR IMG

■ 著者 石黒直樹による書籍説明動画